漫画「鎖衣カドルト」
 余暇には活字を追ってないと物足りない乱読派なので、当然漫画も大好きです(論旨が危ういです)。
 本当に良くできた作品は、文学の域にまで達していると思うのですが、いまだに評価の低いことが残念です。

 って大上段に構えることもないのですが、久しぶりに、濃厚な作品に出会いました。

 鎖衣カドルト (WINGS COMICS)
 鎖衣カドルト (WINGS COMICS)吟 鳥子


 舞台は、中世ヨーロッパ風の架空の地「鎖の国」。
 主人公は、カドルトという名の「鎖衣」。
 自らの体に鎖を巻き、拘束することで、自らの「罪」を戒めている。

 物語は、このカドルトと、彼を護衛する鎖騎士ラダンを中心に展開していきます。
 暴力や憎しみ、悲しみ、苦しみ、飢餓、戦争と破壊
 人が人と関わりながら生きていくということ
 生きていくための支えとなるもの
 神とは何か
 信じるとは何か

 世界は善悪で割り切れるものではなく、立場が違えば見えるものも違う、そのことが対立を生むということ。
 己の「日常」を大きく変質させてしまいそうなものに対する拒絶。

 著者は、架空の国と、架空の教義・宗教を作り上げ、そういった根源的な物に正面から取り組んでいるように見えます。

 誰もが、少なからず感じるそうしたものに対し「それはこうだよね」と簡単に答えを出してしまうのではなく、主人公は些細なことで躓いては、悩み、傷つき、揺らぎ、それでも答えの出ない問いかけをし続ける。

 日々の暮らしに終われてそんなこと考えてられねーよ、なんて人たちの代わりに、考え、悩み、祈る「鎖衣」。

 本来的な意味での、宗教や哲学というものを、そうしたものの意義を、つい考えたくなってしまう作品でした。
| 三月 | | 01:02 | comments(1) | trackbacks(0) | -
水底って…なんだろう…?
| BlogPetのほれいしょ | 2007/11/05 1:05 PM |









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