映画「ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女」
 すっかり時間が経ってしまいましたが、「ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女」見てきました。

 ポスト「ロード・オブ・ザ・リング」を期待するような宣伝がされていますが、両者はまったく別種の作品です。
 LotRは言語から種族の歴史から何から何まで、どれほど些細な細部に至るまでトールキンが作り上げた世界、現実世界とは隔絶された世界であるのに対し、ナルニアは、現実世界の子どもがふとしたことで足を踏み入れる異世界であり、どこかでこちら側と繋がった世界であるという違いがあります。
 元から比べられるものではない、その作品の立つ地平が違うのだというのを知らず「LotR」的なものを期待すると、そりゃー子供だましの肩透かしを食うことになるでしょう。
 「ナルニア」は、普通の子どもが夢を見る、空想をする、御伽噺の世界です。

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)

 公開からだいぶ経ってますが、一応ネタバレありますので、未見の方はお気を付け下さい。



 えーとね、子どもたち、すごい可愛かったです。スチルで見るより動いている方がよっぽど可愛いねー。表情が魅力的で。
 ロンドン空襲を避けて疎開するシーン、駅でお母さんに「下の子をお願いね」と言われる上の子たちの表情、ほんと良かったです。
 自分も寂しいし心細いけど、弟妹のために親代わりにならなきゃ、お母さんを心配させないようにしなきゃというのがね、なんかもう胸につまされるんですよ。
 早くもそこで泣きそうになってしまいました。←思い入れ過ぎ。
 冒頭にそうした戦時中であるというシーンを入れることで、子どもたちがあまり夢を見られる状況になかったこと、少々心が荒んでいたことなどが描かれます。
 父不在のためピーターが長男として張り詰めていることや、次男のエドマンドがそんな兄に反発心を抱いていること、長女のスーザンがそんな兄弟を宥め、纏めようとしていること……上手い導入です。

 物語は、うーん、物足りないシーンもあったけど、まあ悪くなかったと思います。
 ただアスランの復活のシーンは説明不足感が漂っていたというか、あのままではお粗末過ぎる。映画の限られた時間の中で説明の時間が足りなかったのか、それとも1部ではまだ触れられない点があるということなのか、どちらにせよ、もう少しうまい描き方があるはずです。惜しいなぁ。

 ティルダ・スウィントンの魔女は怖くてよかったですね。硬質な美しさが良く映えていました。あの冬のドレスの気高さったらもう!
 戦闘シーンの鎖帷子(WETAのあの人たちが編んだのかなーと喜んじゃう私)姿も凛々しかったですね。魔女の野性味が溢れていました。
 アスランから剃り落とさせたたてがみをつけ、彼がすでに自分の手に落ちたと知らしめることで敵の戦意を喪失させようとする一方、彼の力を我が物にしようとしたのかな。

 そうそう、WETAといえば、タムナスさんちの小物なんかの細かさ、リアルさはさすがに素晴らしいと思うんですが、魔女陣営のクリーチャーの造形がね、ナルニアの世界には浮きすぎている気がしました。
 サイクロプスとかミノタウロスはまあいいとして、それまんまオークじゃんみたいな人々、ああいうのを見てしまうと「LotRとは別物」と分かっているのに比較してしまう自分がいます。

 比較してしまうといえば、追跡者から隠れるために木の根方で息をひそめる兄妹+ビーバー夫妻は、まんまナズグルから隠れるホビットたちでしたね。
 さすがにあーあ、と思ってしまいました。
 そういうの見るとね、なんか現実に戻っちゃうんですよね。
 映像や演出は、残念ながらそうした「どこかで見たな」というのが多々あったりしたのですが、仕方ないことなのかもしれません。

 まあ、でも本当に悪くはなかったです。絶賛するほどでもないっつーとあれですが、ディズニーの手が入っているにしては、原作から改悪された部分は少なかったかな、と思います。
 って、書けば書くほどあんまり誉めてないよ、な感じですが。

 原作者のC.S.ルイスが熱心なキリスト教徒なので(生来のキリスト教徒でしたが、学生時代に一度信仰を離れ、その後再び信仰の道の戻ったときにはより熱心で、より個人的な経験と結びついたものだったと思われます)、物語の随所にそうした影響が散見されます。
 他方、ギリシャ神話や哲学などにも造詣が深く、前述の怪物たちや半人半馬のセントール(ケンタウロス)、山羊の足を持つフォーン(パーン)、グリフォンなどを登場させています。
 まったく見たこともない生き物を想像するよりは、絵本や図鑑で知ってる分、他の物語で得たわくわく感をも蘇らせるというか、より身近なものにするというか、その辺は上手いなと思いますね。


 映画は現在、第2章、第3章の製作も決定しています。公開は来年…は無理かな? 楽しみです。
| 三月 | 映画 | 13:24 | comments(5) | trackbacks(18) | -
こんにちは。
トラックバックありがとうございます。

「ナルニア国物語」を選んだのが、ディズニーらしいのかもしれません。もちろん他に選択肢がないというか、ただ子供向け、家族向けとしてはその役割を果たした第一章だったと思います(^^ゞ
| でんでん | 2006/04/02 7:32 AM |
バレで歴史やオブなどあります
ほれいしょたちが、バレでネタバレとか経ってしまいましたが
ほれいしょは、バレで歴史と広い地平と言語と、大きい普通とかをナルニアしたかったの♪


| BlogPetのほれいしょ | 2006/04/02 9:42 AM |
>でんでんさん

こんにちは!TB返し&コメントありがとうございます!

そうですね、他のファンタジー作品に比べるととてもディズニーが手がけやすい作品だったと思います。
小さい子どもの頃の、扉の向こうに別世界が、っていうわくわく感は上手く伝わってきました。
第2章に期待です!
| 三月 | 2006/04/04 10:28 PM |
三月さん、はじめまして。
私も最近、観てきました。
ほんと子供達の表情、良かったですね。
兄弟っていいなって、しみじみ。

三月さんのエントリは興味深いものばかり。
じっくり読ませてもらいました。
また、おじゃまさせてください。
| はこ | 2006/04/11 6:51 PM |
>はこさん

こんにちは。はじめまして!
TB&コメントありがとうございます。

子どもたち、演技と思えないくらい表情豊かで、本当に可愛かったです。

他の記事も読んでいただけましたか。
とりとめも、まとまりもないことばかりでお恥ずかしい。
またお暇つぶしにでもお越しください。
| 三月 | 2006/04/11 10:01 PM |









http://moon.honeybee.pepper.jp/trackback/456119
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