映画「スタンドアップ」
 もう先週になりますが「スタンドアップ」見てきました。

 やあ、本編の話に入る前にちょっといいすか。

 題材や映画の雰囲気がアレなのに、あのCMの作りはないんじゃないの?
 元々好きな役者が出てるんで、見に行く気はあったんだけど、あの予告では、もっと明るい「困難を吹き飛ばそう!」みたいな、強い女性が理不尽な出来事に立ち向かいつつ、でも時にはやっぱり涙が出ちゃう。そんな私を支えてくれたのは……。
 ――なーんて映画のようじゃないか、と。

 本編はもっと寒々しい、家族の誰にも本当のことを言えずに、それでも表面だけは何とか取り繕ってきた女性のお話でした。


 教師にレイプされたことを誰にも言えない。
 子どもが出来ても、父親の名を言えず「誰の子か分からない」なんて、「ふしだらな女」と親にさえ思われてしまう。
 DV夫から逃げてきても、「お前に原因がある」と思われてしまう。
 閉鎖的な古く小さな町では、子どもふたりを抱えるシングルマザーに冷たい視線(しかもみんな過去のことで偏見を持っている)。
 息子は私生児として苛められる。
 その息子も母を信じていない(過去を隠すため嘘を重ねているのを本能的に感じるんだろうね)。

 と、弱かったからなのか、それとも何か問題があったのか、単にめぐり合わせが悪かったのか、主人公は自分に貼られたレッテルを、「そうじゃない」と思いながらも拭い去るためにどうしたらいいのか分からない日常の中でもがいている。
 本来なら守ってくれるはずの父親は、自分を軽蔑しきっていて、はなから話にもならない。
 もちろん、話し合いの席についたところで、何からどう話せばいいのかは、きっと主人公にも分からないのだろう。
 口篭もり、涙ぐみ、俯いてしまう。
 「ほら、真実だから返す言葉がないんだろう」といわんばかりの眼差しを向けられて、怒りや哀しみを感じても、ただ立ち尽くしてしまう。

 もちろん、彼女にも問題はある。
 自分はいつでも耐えていると哀れむばかりで、自分の前にいる相手に自分を理解してもらおう、相手を理解しよう、と言う姿勢は取らずに来ていたのだから。
 もっとも拒絶され続ければ、そんな努力をする気力もなくなるけれど。

 そんな彼女が、それでも、ようやく立ち上がろうとした、隠してきたことを、話せずにいたことを、後ろめたさを、一つ一つ明らかにしていく中で、彼女は、はじめて、「他人」と理解し合う。

 そうなってはじめて、解決に向けて物語が進みだす。
 だから、ほとんどの時間は非常につらい展開が続き、主人公にも、それを取り巻く人々にも苛々し続けるような、そんな映画でした。


 その中で、とても安らいだのは、主人公の友人グローリーとその夫カイルの関係でした。
 えー、まぁ、そのカイルがショーン・ビーンなわけですが(これが見に行った理由/笑)。
 ショーン、すごく良かったですね! ああ、本当にあんな旦那さんいいよねぇ〜。
 グローリーも、とても素敵な人でした。とても強い人でしたね。
 お互い支え合っている姿を見ると、ジョージーは何故そういう人に出会えなかったんだろう、って、やっぱり哀しくなっちゃうだろうなぁ。
 ショーンじゃなくてカイルのサミー(ジョージーの息子)への接し方も良かったですね。
 なんかね、「ああ、息子がいたらこんな風に話をするんだが」みたいな、ショーンじゃなくてカイル(しつこい)の気持ちが見えてね。

 ま、そんなわけで、泣かされたり考えさせられたりしつつも、ショーンの冗談を言う声や、笑顔や、妻を想う真剣な眼差しにやられっぱなしなのでした。
| 三月 | 映画 | 20:02 | comments(4) | trackbacks(12) | -
初めまして!TBありがとうございました★
この映画ほんと観てるのが辛くなっちゃう場面ばかりで後半パパとの絆修復するまでイライラしすぎで胃が痛くなるかと思いました
そしてCMにまんまと騙された内の一人です
おかげでいい映画が観れたけど(苦笑)あれ観てハンカチ不要と判断しちゃったらどうすんだと思いますね〜
| さわわ | 2006/02/03 8:15 PM |
>さわわさん

こんにちは。
やっぱりあのCMはだめですよねぇ〜。
予告のイメージで映画を見たらかなりダメージくらいますよ、あれ。
作品そのものは地味な良品なので、もっと違う宣伝の仕方があったんじゃないかと……。

お母さんに泣かされ、お父さんに泣かされ、グローリーに泣かされ、映画館の暗がりの中でティッシュを探して鞄をガサガサあさってしまいました(笑)。
| 三月 | 2006/02/04 10:12 PM |
きょう三月の、アップしたかった。
| BlogPetのほれいしょ | 2006/02/05 9:26 AM |
ほれいしょたちが、出来事と、いい困難などをアップしなかった?


| BlogPetのほれいしょ | 2006/02/12 9:18 AM |









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